ハンス・ベルメール:日本への紹介と影響

− 球体関節人形を中心に −


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[覚書2]

澁澤的ベルメール論のベルメール的迷宮


[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [資料] [註]

7.おわりに

 本稿では、澁澤龍彦の一連のベルメール・エッセイを「一つのベルメール論」と見なして検討を行った。

 その結果得られた結論を簡単に纏めると、以下の様になる。

(1) 澁澤的ベルメール論は、多くの矛盾を抱えた迷宮の様相を呈している。

(2) 澁澤的ベルメール論の問題点の根元には、澁澤がベルメール論の基軸に据えようとした人形愛論と、それに還元されないベルメール的要素との間の不整合が存在する。この不整合は、澁澤的ベルメール論の原点と言うべき小説「人形塚」において既に胚胎されていた。

(3) 澁澤的ベルメール論そのものは不完全なものと判断せざるを得ない。しかし、それが日本の人形作家に与えた影響は高く評価できる。澁澤の思索の結果が、自己の表現を模索する創作家にとって何らかの啓示となったのであれば、その事実そのものが重要だからである。

 

 最後に、第1章「はじめに」において言及した<日本人によるベルメール受容の在り方>に関しては、十分な検討に至らなかった。今後の課題としたい。


2003年7月30日公開
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