ハンス・ベルメール:日本への紹介と影響

− 球体関節人形を中心に −


 Introduction 

 Bellmer 

 Influence 

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 Fragments 

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 Chronology 

 Appendix 


(3) ベルメールの影響について

 ハンス・ベルメールの日本への紹介と影響に関する資料を調べていて改めて驚いたのは、日本へのベルメールの紹介が非常に早い時期から行われ、そしてその影響が例えば英語圏に較べると比較にならないほど大きかったということです。

 紹介の時期に関して言えば、例えば、瀧口修造・山中散生らの企画による「海外超現実主義作品展」でベルメールの素描と写真が紹介され、"ALUBUM SURRÉALISTE"(『みづゑ』臨時増刊号)に"Second Doll"(腹部球体を持った関節人形)の写真が掲載されたのが、1937年。...これは、ベルメールが"Second Doll"の製作を開始してからたった2年後のことです。(*Appendix 2)
...そして、現在、アンティーク・ドールのような愛玩人形との融合が進んでいるとはいえ、ベルメールの流れを汲む「関節人形」は、創作人形の分野において明確なサブジャンルを形成しているように思われます。

 また、ベルメールの影響に関しては、四谷シモンの回想談がよく知られていますが、その他にも、ベルメールの人形写真との出会いをきっかけに関節人形の制作を始めたと語る作家は少なくありません。さらに、日本の「関節人形」作家たちの影響関係をたどれば、直接的にせよ間接的にせよ、何らかの形でベルメールの影響を受けていない作家はいないとさえ言うことができるように思われます。

 しかし、それと同時に、日本の「関節人形」作家たち(とりわけその主力を占める女性の作家たち)の作品を見ると、ベルメールとは明らかに異なる「何か」を感じます。残念ながら、今はまだ、この「感じ」をうまく言葉で説明することはできないのですが、ここではひとまず、その一つの側面を「アニミズム的抒情性」と呼んでおきます。

 以上のように、ベルメールの人形が日本の創作家の内面に形を与える決定的な触媒と成り得た事実と、それにもかかわらず或る本質的な相違が存在すること、...この二つの点に、「人形」ひいては生と死に関する日本的心性の秘密のようなものが隠されているように感じられます。また同時に、この問題と交差するようにして、人形作りにおけるセクシュアリティの問題も見え隠れするように思われます。

 以下では、ベルメールの影響を資料的に確認できた作家を中心に、その影響がどのようなものであったかを調べてみました。


  1. 四谷シモン

  2. 土井 典

  3. 吉田 良 [吉田良一]

  4. 秋山まほこ

  5. 緋衣汝香優理

  6. 伽井丹彌

  7. 堀 佳子

  8. 若月まり子

  9. 恋月姫

  10. 槙宮サイ


2006年10月8日更新 (2001年7月21日公開)
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